ウルトラマンティガ 名前の由来|名付けたのは円谷プロではない

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「ティガ」はインドネシア語で「3」。

3つのタイプに変身するから、ティガ。
この説明は、だいたい合っています。

ただ、名付けたのは円谷プロではありませんでした。

しかも、決まる前の名前は別にあり、変身する形態も最初は3つではありませんでした。

この記事では、広く知られている説明を出典まで戻して、確認できることと確認できないことを分けます。

結論:確認できるのは4つ、確認できないのは2つ

論点 判定 根拠
ティガはインドネシア語の「3」か そのとおり 基数詞として一般的な語
名付けたのは誰か バンダイの村上克司 円谷プロの人物ではない
企画段階の名前 レイジ 1996年5月7日脱稿の設定書
巨人像はもともと何体か 5体 のちに3体へ整理された
「聖なる数字」という意味があるか 確認できない tigaは普通の数詞
円谷プロの専務が名付けたのか 確認できない 役職の取り違えとみられる

順番に見ていきます。

名付けたのは、玩具メーカーの人でした

命名の経緯は、記録に残っています。

バンダイの村上克司がネーミングを決める時期にインドネシアにたまたま旅行に行っていたこともあり、トリプルチェンジすることから、それに引っ掛けてインドネシア語の聖なる数字の「3」を意味する「ティガ」に命名したという
日本語版Wikipedia「ウルトラマンティガ」(出典=テレビマガジン特別編集の関係者記事)

読み落としやすいところが2つあります。

1つ目は、村上克司がバンダイの人だということ。制作会社である円谷プロダクションの人間ではありません。

2つ目は「たまたま旅行に行っていた」という部分です。語学的な知識から選ばれた名前ではなく、時期が重なった結果として出てきた語だ、と読めます。

玩具が主導する特撮番組で、メインスポンサーの役員が名称や形態設定に踏み込むこと自体は、珍しい構図ではありません。

「円谷の専務」説は、2人の取り違えです

ネット上では「円谷プロの専務が名付けた」という説明も流れています。
検索結果の上位に、個人の投稿がそのまま出てくる状態です。

ここは整理できます。

人物 当時の立場 役割
満田かずほ 円谷プロ 専務 企画者として参画。命名者ではない
村上克司 バンダイ 専務 「ティガ」を提案

どちらも専務です。

「専務が海外旅行の土産話として持ち込んだ」という話が伝わる過程で、どちらの会社の専務かが抜け落ちたのだと考えられます。

なお満田かずほは、この作品でM78星雲やウルトラ兄弟といった従来の設定を引き継がない方針をまとめた人物です。名前を付けてはいませんが、名前を必要とする状況を作った側にあたります。

「聖なる数字」は、確認できませんでした

ここが、この記事でいちばん引っかかったところです。

日本語の資料では、ほぼ必ず「聖なる数字の3」と書かれます。先ほど引用した記述にも入っています。

ただし、インドネシア語の tiga は、次のように並ぶ普通の基数詞です。

  • satu(1)
  • dua(2)
  • tiga(3)
  • empat(4)

公文書から日常会話まで使われる基礎語で、語そのものに「神聖な」という意味は含まれていません。

3という数を尊ぶ考え方が現地の文化にあることと、tiga という単語が聖数を意味することは、別の話です。

この「聖なる」がどこで足されたのかは、筆者が当たった範囲では特定できませんでした。日本側の紹介文に付いた修飾が、そのまま定着した可能性はありますが、裏は取れていません。

企画段階の名前は「レイジ」でした

決定するまでに、別の名前がありました。

1996年5月7日に脱稿された「ウルトラマン~大いなる序章~設定書」では「レイジ」という名称であった
日本語版Wikipedia「ウルトラマンティガ」(出典=テレビマガジン特別編集ほか)

日付と文書名まで特定されている記録です。放送開始が同年9月7日なので、4か月前の時点ではまだ「ティガ」ではありませんでした。

ほかに『新ウルトラマン』のような包括的な仮称も使われています。

もともとは3体ではなく、5体でした

名前より先に、数のほうが動いています。

当初は、ピラミッドの中に眠る巨人像は5体であり、壊された2体分の巨人からタイプチェンジ能力を得たという設定だった
切通理作『地球はウルトラマンの星 : ウルトラマンティガ・ダイナ・ガイア』ソニー・マガジンズ、2000年3月、34頁

完成した作品では、ピラミッドに眠る石像は3体です。2体が破壊され、残った1体が主人公と一体化します。

5体が3体に整理されたから、「3」が作品を代表する数になりました。
そこへ「ティガ」が乗っています。名前が先にあって形態が決まったのではなく、順序は逆です。

3つの形態には、それぞれ名前が付いています。

タイプ 特徴
マルチタイプ 標準形態
パワータイプ 力に特化
スカイタイプ 速さに特化

放映直前のキャッチコピーは「ウルトラマンはさらに進化! 敵の特徴に合わせて3タイプに変身する超マルチ戦士!」でした。売り文句の中心が、はじめから「3」に置かれています。

主人公の名字は、制作会社から取られています

名前の由来は、ヒーローの側だけではありません。

主人公はマドカ・ダイゴ。演じたのは長野博です。
この姓名は、それぞれ別のところから来ています。

『ダイゴ』という名前は当時円谷プロ制作部に所属していた渋谷浩康の考案である
日本語版Wikipedia(出典=『地球はウルトラマンの星』2000年、110頁/『増補改訂ティガ』2019年、167頁)

姓のほうが、さらに直接的です。

名字の『マドカ』は「円谷の子どもだから」という意味で、その一字である円から取られた
日本語版Wikipedia(出典=『電撃特撮通信』2000年、111頁)

円谷の「円」を、訓読みして「まどか」。

ウルトラマンの名前が社外の玩具メーカーから来て、主人公の名字が制作会社の社名から来ている。名付けの出どころが、作品の内と外で入れ替わっています。

作品の基本データ

項目 内容
正式表記 ウルトラマンティガ(ULTRAMAN TIGA
放送 1996年9月7日〜1997年8月30日
放送枠 毎日放送・TBS系列/土曜18:00〜18:30/全52話
制作 円谷プロダクション
企画 満田かずほ、丸谷嘉彦、大野実
主題歌 OP「TAKE ME HIGHER」V6/ED「Brave Love, TIGA」地球防衛団
時代設定 2007年〜2010年
位置づけ ウルトラマン生誕30周年記念番組

1998年には第29回星雲賞の映画演劇部門・メディア部門を受賞しています。日本の特撮テレビドラマとしては初めてのことでした。

まとめ

  • 「ティガ=インドネシア語の3」は合っている
  • ただし名付けたのはバンダイの村上克司で、円谷プロの人物ではない
  • きっかけはたまたま旅行先が現地だったこと
  • 「円谷の専務」説は2人の専務の取り違えとみられる
  • 「聖なる数字」は確認できない。tigaは普通の数詞
  • 企画段階の名前は「レイジ」
  • 巨人像は当初5体で、3体になってから「3」が意味を持った
  • 主人公の姓「マドカ」は円谷の「円」から取られている

出典に辿れる部分と、辿れないまま広まった部分が、同じ文章の中に同居しています。

よくある質問

「ティガ」とはどういう意味ですか?

インドネシア語・マレー語で数字の「3」です。satu(1)、dua(2)、tiga(3)、empat(4)と並ぶ基数詞です。

なぜ「3」なのですか?

マルチタイプ・パワータイプ・スカイタイプという3つの形態に変身する設定に合わせたものです。命名の経緯としても、トリプルチェンジに引っ掛けたと記録されています。

誰が名付けたのですか?

バンダイの村上克司です。ネーミングを決める時期にたまたまインドネシアを旅行していたことが、きっかけとして記録されています。

円谷プロの専務が名付けたと聞きましたが?

当時の円谷プロ専務は満田かずほで、企画者として参加していますが、命名者ではありません。名付けたのはバンダイの専務だった村上克司です。どちらも専務であるため、取り違えが起きたとみられます。

「聖なる数字」という意味はありますか?

日本語の資料にはそう書かれていますが、tigaという単語自体は普通の数詞で、「神聖な」という意味は含みません。この修飾がどこで付いたのかは確認できませんでした。

主人公の名前の由来は何ですか?

名の「ダイゴ」は、当時円谷プロ制作部にいた渋谷浩康の考案です。姓の「マドカ」は「円谷の子どもだから」という意味で、円谷の「円」の字から取られています。

企画段階では違う名前だったのですか?

1996年5月7日に脱稿された設定書では「レイジ」でした。放送開始の4か月前の時点です。

この記事は、『ウルトラマンティガ』の命名をめぐる説明を、出典まで戻して確認したものです。
書誌情報は国立国会図書館の書誌で照合しました。『地球はウルトラマンの星』の著者と版元は、そこで確定させています。
引用元の書籍そのものには当たっていません。日本語版Wikipediaが示す出典表記を経由して確認した記述です。
「確認できなかった」と書いた箇所は、当記事で当たった資料の範囲での話です。断定はしていません。

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