
『男はつらいよ』の第1作が公開されたのは1969年です。
ただし、その前年にテレビドラマ版が放送されていました。フジテレビで全26話。寅さんを演じたのは、映画と同じ渥美清です。
そして、そのテレビ版の最終回で――
寅さんは死にます。
この記事では、映画になる前の『男はつらいよ』と、50作という記録、そしておいちゃんが3人いる理由を、記録にあたって確認します。
結論:映画の前にテレビ版があり、そこで寅さんは死んでいる
| 問い | 記録にあること |
|---|---|
| 映画が最初なのか | いいえ。1968年10月からテレビドラマ版が全26話放送されている |
| テレビ版はどう終わったか | 寅次郎が奄美大島でハブに噛まれて死亡する |
| おいちゃんが途中で変わるのはなぜか | 初代の森川信が1972年に死去したため。その後もう一度交代し、計3人が演じた |
| なぜ48作で終わったのか | 第49作の準備中に渥美清が死去したため |
元をたどると、渥美清が旅館で話した雑談に行き着きます
テレビ版にも、その前があります。
つまり出発点は、渥美清が少年時代に憧れていたテキ屋の話と、自身の青春時代の話です。
順番を整理すると、こうなります。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| 1 | フジテレビの小林俊一が渥美清主演の企画を検討し、渥美に相談 |
| 2 | 渥美が新人監督の山田洋次を推薦 |
| 3 | 旅館で執筆中の山田を訪ね、渥美がテキ屋の話と青春時代の話を披露 |
| 4 | その雑談を元にテレビドラマの物語が誕生 |
| 5 | 1968年10月、テレビ版の放送開始 |
| 6 | 1969年8月、映画の第1作公開 |
寅さんという人物は、脚本家が机の上で考えたものではありません。
主演俳優が旅館でした雑談から始まっています。
テレビ版は1968年。最終回で寅さんは死にます
その雑談から生まれたのが、このテレビドラマです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 放送期間 | 1968年10月3日 - 1969年3月27日 |
| 放送回数 | 全26話 |
| 放送時間 | 木曜 22:00 - 22:45 |
| 制作 | フジテレビジョン/高島事務所 |
| 寅次郎 | 渥美清 |
| さくら | 長山藍子 |
| おいちゃん | 森川信 |
寅さんとおいちゃんは、映画版と同じ俳優です。
一方でさくらは長山藍子で、映画の倍賞千恵子ではありません。
そして最終回の第26話で、寅次郎は一獲千金を狙って奄美大島へハブを捕まえに行き、逆にハブに噛まれて死亡します。
そのうえで映画版は、翌年から48作にわたって作られました。
テレビ版だけが、26話で主人公を死なせて終わっているということになります。
「男はつらいよの元ネタは何か」という問いへの答えは、この26話のテレビドラマです。
映画は全50作。ギネス世界記録に認定されています
翌1969年8月27日に、映画の第1作が公開されました。
括弧の中が正確なところです。
記録は「作品数」であって、続いた年数では007のほうが長い、と書かれています。
作品数の内訳はこうなります。
| 区分 | 数 |
|---|---|
| 渥美清が出演した映画 | 48作 |
| 特別篇を含めると | 49作 |
| 2019年の第50作を含めた合計 | 50作 |
第1作が1969年8月27日、第48作が1995年12月23日の公開です。
26年にわたって作られたことになります。
おいちゃんは3人が演じています
シリーズを通して見ると、途中でおいちゃんの顔が変わります。
| 代 | 俳優 | 担当 |
|---|---|---|
| 初代 | 森川信 | テレビドラマ版、第1作 - 第8作 |
| 2代目 | 松村達雄 | 第9作 - 第13作 |
| 3代目 | 下條正巳 | 第14作 - 第48作 |
初代が交代した理由は、死去です
森川信は1912年2月14日 - 1972年3月26日。60歳で亡くなっています。かねてから患っていた肝硬変が悪化したためです。
第8作までがテレビ版から続いた森川で、その死後に交代が起きました。
山田洋次監督は、このとき代役を立てるのか、おいちゃんなしの寅さん一家にするか、そうとう迷ったと答えたことが記録されています。
なお第50作では、森川と、おばちゃん役の杉山とく子が遺影として登場します。
性格設定も俳優に合わせて変えられています
交代は、単に顔が変わっただけではありません。
コメディアンだった森川のおいちゃんは、寅次郎と同じくどこか抜けた喜劇的な人物で、店の営業中に昼寝をしてつねにあきれられます。
松村になるとやや大人しくなり、パチンコ好きという設定が加わりました。
民藝出身の下條正巳になると、店の切り盛りも勤勉にこなす、ややシリアス寄りの人物へ傾きます。名物の草団子を丹念に仕込む描写が増えるのも下條からです。
これは演じた俳優それぞれの持ち味を生かした、山田洋次による演出の変更だと記録されています。
同じ役なのに印象が違うと感じたなら、それは記憶違いではありません。
シリーズが終わったのは、渥美清の死去によるものです
第48作『寅次郎紅の花』は1995年12月23日の公開でした。
その後、第49作『寅次郎花へんろ』の準備中に渥美清が死去し、シリーズは打ち切りになりました。
つまり48作で終わったのは、話が完結したからではありません。
次の作品の準備は進んでいたということになります。
よくある質問
男はつらいよの元ネタは何ですか?
直接には、1968年10月から1969年3月にフジテレビで放送されたテレビドラマ版です。全26話で、寅次郎とおいちゃんは映画と同じ渥美清・森川信が演じています。最終回で寅次郎はハブに噛まれて死亡します。
さらにさかのぼると、そのテレビ版は、渥美清が旅館で山田洋次に語った「少年時代に憧れていたテキ屋の話」と「自身の青春時代の話」の雑談から生まれています。
おいちゃんが交代した理由は何ですか?
初代の森川信が1972年3月26日に亡くなったためです。享年60、肝硬変の悪化によるものでした。
その後、松村達雄(第9作 - 第13作)から下條正巳(第14作 - 第48作)へもう一度交代しています。この2度目の交代理由については、記録を確認できていません。
全部で何作ありますか?
渥美清が出演した映画が48作、特別篇を含めて49作、2019年公開の第50作を含めると合計50作です。
ギネス世界記録なのは本当ですか?
本当です。ただし記録の中身は作品数で世界最長という意味で、続いた年数では『007』シリーズのほうが長いと記されています。
なぜ第48作で終わったのですか?
第49作『寅次郎花へんろ』の準備中に渥美清が亡くなったためです。物語として完結したわけではありません。
この記事は、テレビドラマ版と映画版の記録を突き合わせたものです。
放送期間・話数・公開日・俳優の担当作・生没年は、いずれも出典にあたって確認しています。
2代目から3代目へのおいちゃん交代の理由は、確認できなかったため書いていません。

