
コナン、ラナ、ジムシィ、モンスリー、ダイス、レプカ。
この名前のうち、どれが原作から来ていて、どれが日本で作られたのか。
調べると、名前は3つに分かれます。
そのまま引き継がれたもの、変えられたもの、日本で新しく作られたものです。
この線が、どこにも引かれていません。
この記事では、原作小説とアニメの名前を突き合わせて、その3つに仕分けます。
結論:名前は3種類に分かれます
| 区分 | 該当する名前 |
|---|---|
| そのまま引き継いだ | コナン/ラナ/ダイス/オーロ/メイザル/シャン |
| 変えられた | ラオ博士/モンスリー/レプカ/ジムシィ |
| 日本で作られた | おじい/テラ/チート/バラクーダ号の乗組員/ほか |
順番に見ていきます。
公式サイトには、名前の由来が書かれていません
まず、探しても見つからないことを先に書きます。
検索結果の上位には、作品の公式サイトと制作会社の公式ページが並びます。答えを持っていそうな側です。
本文を測りました。
| ページ | 本文 | 「由来」 |
|---|---|---|
| 公式サイト「キャラクター」 | 887字 | 0 |
| 公式サイト「作品紹介」 | 531字 | 0 |
| 制作会社の作品ページ | 1,645字 | 0 |
答えを持っていそうな3本が、どれも書いていません。
日本語版Wikipediaも、全文で「命名」は0件です。ただし各キャラクターの説明の中に原作名が散らばっていて、一覧にはなっていません。
原作は、1970年のアメリカの小説です
アニメには原作があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原題 | The Incredible Tide |
| 著者 | アレグザンダー・ケイ(1904–1979) |
| 刊行 | 1970年/The Westminster Press(フィラデルフィア) |
| 邦題 | 残された人びと |
| 訳者・版元 | 内田庶 訳/岩崎書店 |
| 邦訳の刊行 | 1974年11月30日 |
アニメの放送は1978年です。邦訳が出てから4年後にあたります。
のちに角川文庫版が出て、2012年には復刊ドットコムから新装版も出ています。
そのまま引き継がれた名前
半分ほどは、原作の名前がそのまま使われています。
| 原作 | アニメ | 備考 |
|---|---|---|
| Conan | コナン | 原作では大変動時12歳、物語開始時17歳の青年 |
| Lanna | ラナ | 綴りが Lana に簡素化された |
| Commissioner Dyce | ダイス | 原作では冷徹な敵役の官僚(通商代表) |
| Orlo | オーロ | ハイハーバーの少年グループの頭目 |
| Mazal | メイザル | ラナの叔母 |
| Shann | シャン | メイザルの夫で医師 |
名前は同じでも、人物像は変わっています。
ダイスが分かりやすい例です。原作では冷たい官僚ですが、アニメでは人間味のある船長になっています。名前を残して中身を入れ替えたということになります。
主人公も同じです。原作のコナンは戦争より前に生まれ、機械文明を知って育っています。アニメの野生児とは出発点が違います。
変えられた名前
| 原作 | アニメ |
|---|---|
| Teacher / Briac Roa | ラオ博士 |
| Doctor Manski | モンスリー |
| Lepko | レプカ |
| Jimsy | ジムシィ |
この4件は、日本語版Wikipediaが各キャラクターの説明の中に書き残しています。たとえばレプカの項にはこうあります。
日本語版Wikipedia「未来少年コナン」レプカの項
情報自体は公開されていますが、キャラクターごとの説明に散らばっています。まとめて並べた記事が見当たりません。
ラオ博士は、原作では「先生」と呼ばれています
原作での呼び名はTeacher(先生)で、本名がBriac Roaです。
この「ロー」が「ラオ」になっています。
一方、変名のパッチ(Patch)は原作と同じです。
モンスリーは、原作では別の人物です
原作のDoctor Manskiは、アニメ版よりかなり年長の人物で、息子を戦争で亡くしています。
アニメのモンスリーは若く有能な指揮官として描かれます。名前も設定も、大きく作り替えられています。
レプカは、原作では端役でした
原作のLepkoはインダストリアの末端の役人で、出番も少なく、最後がどうなったかも書かれていません。
アニメでは独裁を企む最高行政局長まで格上げされています。名前の変化より、役割の変化のほうが大きい例です。
ジムシィは表記が揺れます
原作の翻訳ではジムシイ、アニメの設定資料ではジムシィと書かれています。
役どころも違います。原作ではハイハーバーの少年として終盤に出てきますが、アニメではコナンが最初に出会う相棒になっています。
日本で作られた名前
原作にいない人物も、かなりの数がいます。
| 名前 | 役どころ |
|---|---|
| おじい | コナンの育ての親 |
| テラ | オーロの妹 |
| チート | ハイハーバーの長老格 |
| ドンゴロス/パスコ/グウ | バラクーダ号の乗組員 |
| ルーケ/ケイ | インダストリアの地下の人びと |
おじいが原作にいないのは、物語の始まり方が違うためです。
原作のコナンは、何もない島にひとりで流れ着き、5年間を自力で生き延びたところから始まります。育ての親という存在自体がありません。
地名も、原作から来ています
名前を引き継いだのは、人物だけではありません。
インダストリアもハイハーバーも、原作に登場する地名です。物語の対立軸そのものが原作から引き継がれています。
一方で、日本で作られた場所もあります。
日本語版Wikipedia「未来少年コナン」(出典=内田 訳(2012)8頁)
「のこされ島」は原作にありません。
おじいという人物も、その島も、アニメの側で用意されたものだということになります。
名前を残して、中身を入れ替えています
ここまで並べると、ひとつの傾向が見えてきます。
名前はかなり残していて、変えているのは中身のほうです。
原作は、東西の対立を反映した色の濃い物語でした。インダストリアとハイハーバーの争いがあり、二度目の大津波から逃れることが軸になっています。
アニメは、その骨組みを残したまま、少年少女向けの冒険活劇に組み替えられています。
- 敵役だったダイスは、人間味のある船長に
- 端役だったレプコは、物語の中心にいる独裁者レプカに
- 終盤に出てくる少年ジムシイは、最初から一緒にいる相棒ジムシィに
名前は目印として残し、その下の人物を作り替えた。そう読むと、名前の由来を探しても答えが出にくい理由も見えてきます。多くは「原作にそう書いてあったから」なのです。
タイトルは誰が付けたのか
原作の邦題は『残された人びと』です。アニメのタイトルとは違います。
分かっているのはここまでです。
- NHKが番組の候補として複数の海外児童文学を挙げ、その中から選ばれた
- 放送枠が火曜19時30分のファミリー向けに決まった
- 主人公名を軸に、遠い未来のSF冒険活劇だと分かる題名として決められた
ただし、「未来少年」という言葉を誰が出したのかは分かりません。
NHK側なのか制作会社側なのか、個人の命名として記録した資料に辿り着けませんでした。会議で決まったタイトルとして記録されているだけです。
作品の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原作 | アレグザンダー・ケイ『残された人びと』より |
| 監督 | 宮崎駿(「演出」名義) |
| 脚本 | 中野顕彰、吉川惣司、胡桃哲 |
| キャラクター・メカニックデザイン | 宮崎駿、大塚康生 |
| アニメーション制作 | 日本アニメーション |
| 製作 | NHK、日本アニメーション |
| 放送 | NHK総合/1978年4月4日〜10月31日/全26話 |
クレジット上、宮崎駿は「監督」ではなく「演出」と表記されています。
まとめ
- 公式サイトも制作会社も、名前の由来を書いていない
- 原作は1970年のアメリカの小説で、邦訳は1974年
- コナン・ラナ・ダイス・オーロ・メイザル・シャンは原作から
- ラオ博士・モンスリー・レプカ・ジムシィは変えられた
- おじい・テラ・チートなどは日本で作られた
- 名前が同じでも人物像は入れ替わっていることが多い
- インダストリアとハイハーバーは原作の地名。のこされ島は日本で作られた
- タイトルを誰が付けたかは分からない
名前をたどると、原作をどう作り替えたかが見えてきます。
よくある質問
コナンという名前は原作から来ているのですか?
はい。原作小説『The Incredible Tide』の主人公が、すでに Conan という名前です。日本側で付けた名前ではありません。
ラナの名前の由来は何ですか?
原作のヒロイン Lanna をそのまま引き継いだものです。アニメの設定や海外展開では Lana と綴られます。呼び方は変わりません。
おじいは原作にも出てきますか?
出てきません。アニメで作られた人物です。原作のコナンは何もない島にひとりで流れ着き、5年間を自力で生き延びています。
モンスリーは原作にもいますか?
Doctor Manski という人物が対応します。ただしアニメ版よりかなり年長で、息子を戦争で亡くしているという設定です。名前も人物像も作り替えられています。
ジムシーとジムシィ、どちらが正しいですか?
原作の翻訳では「ジムシイ」、アニメの設定資料では「ジムシィ」と書かれています。原作の綴りは Jimsy です。
『名探偵コナン』と関係はありますか?
名前が同じというだけで、由来はつながっていません。『未来少年コナン』のコナンは原作小説から来ています。当記事で当たった資料の範囲では、両者を結びつける記録は見つかりませんでした。
スタッフに宮崎駿はどう関わっていますか?
演出(監督)とキャラクターデザイン、メカニックデザインを担当しています。クレジット上は「監督」ではなく「演出」と表記されています。
この記事は、『未来少年コナン』の名前を、原作小説との対応で仕分けたものです。
公式サイトと制作会社ページの記載の有無は、実際に本文を取得して数えました。
原作小説そのものには当たっていません。原作の名前や設定は、日本語版Wikipediaと提供資料の記述を突き合わせて確認したものです。
資料によって記述が食い違う箇所(登場人物の性別など)は、断定を避けて書いていません。
「分からない」と書いた箇所は、当記事で当たった資料の範囲での話です。
